紫電改製作記
当ホームページで4000キリゲットの春之助さんのリクエストで作りました。
人気の高い航空機、紫電改です。日本機を作りたい!でもどうすれば良いやら・・
という方の少しでも参考になれば幸いといったところです


私は今回、文庫の「紫電改の6機」を読んで、紫電改を
より深く知るところから始めました。
その中で鴛淵孝大尉の話に感動しました。

鴛淵 孝 大尉
(戦闘701隊長)25歳 長崎県出身 海兵68期
昭和18年にソロモン戦線に出動した後、
北千島、フィリピンを転戦。
昭和19年に負傷して内地に帰り、
昭和20年1月、343空に発令された。
学業、技量、人格ともにすぐれた青年士官でした。
今回作るのはこの人の機体に決定しました。


ハセガワの名キット
「紫電改前期型」です。価格は2000円前後です。
最近模型の価格が上がってきている中で、
これは安いほうだと思います。
鴛淵孝大尉機のデカールもついてます。


まずはイメージを湧かせましょう。
どういう風に完成させるかから始まり
、 どういう手順で組み立てるか。。
説明書をじっくり読みます。
この段階、意外と大切です。
私は色指定に悩み、今回は資料に忠実に作ることにしました。
機体上部は若干青っぽい暗緑色、
下部は銀色(ジュラルミン)です
初めて塗装するパターンなので上手く(違和感なく)出来るか、
ドキドキです。


まずキャノピーのマスキングをしました。
地味でだるい作業を最初にやっちゃいました。
隙間がないようにしっかり貼っていきます。
最後にマスキングゾルを塗っておくと確実です。
裏に塗料が周り込まないように裏側は全体を
マスキングします。


次にコックピットです。
パーツを見ると、ちょっと前のプラモらしく、
パーツ数が抑えられ、ディティールがイマイチです。
例えば、酸素ボンベが背面のパーツと
一体になっていたりします。、


ということで、酸素ボンベを自作、
酸素ボンベが別パーツになっているのが
解りますでしょうか?
さらにパーツのあちこちに穴を開けて、
レバーやら、配線やら、追加します
シートベルトは座席にモールドされているのを
そのまま色分けで再現することにしました
この辺はお好みです。自己満足です。
どうせ完成したら殆ど見えなくなりますから(笑)


コックピットを組んだら、機体内部色を
塗ります。この時、さっきマスキングした
キャノピーや、胴体内側も塗っちゃいます。
段取り8分・・。とまでは言えませんが
模型製作は段取りで大きく制作速度が変わります。


細かいところを筆でチョンチョンと
塗っていきます。筆に塗料はあまりつけず、
撫でるように塗ると、やりやすいです
さらに塗料を大方拭き取った筆でなぞるのも
良いです。
塗料が乾いたらエナメル黒で、ウォッシング&スミイレです。


コックピットの次はエンジンです。
細かい作業が続きます。
キットそのままでも充分ですが
点火プラグなどを追加すると自己満足できますw
伸ばしランナーやエナメル線を使います。
資料を見ながらじっくりと。
「配っ線の行方を♪ 資料と睨めぇっこ♪」
(↑ハピマテのリズムでw)


エンジンを塗って黒でウォッシングしました。
資料で見るとエンジンのシリンダー部分は
かなり黒いです。
たくさんウォッシングして暗めにしました。

配線をつけると精密感が増します。


排気管を塗っておきます。
後からだとエンジンカウルに覆われて
塗りにくくなるので。
銀を塗った後、タミヤのウェザリングマスター
の茶色を塗ると良い感じになります。
こちらも最後に
エナメル黒でスミイレ&ウォッシングします。

エンジン部はこんな感じです。
さらにこだわる人は排気管に穴を開けたり、
排気管を真鍮パイプで自作したりします。
私はヘタレなのでこの辺で自己満足します。


コックピット、エンジン部が完成したら、
機体全体を組み立てます。
(この時が楽しい)
いきなり接着せずにパーツを合わせてみて、
大きなスキマが出来ないかチェックしましょう。
大きなスキマができていたら、その原因を探し、
少しずつ削るなどして調整しましょう。

機体各部を接着します。
一気に作業が進む感じがして
とてもうれしい段階です。
どうしても接着面にスキマができてしまうので
パテで埋めましょう。
私は塗るだけ簡単の「溶きパテ」を使っています。
小さなスキマ埋めはコレで充分です。
大きなスキマには瞬間接着剤パテを使っています。
パテを盛ったら、最低一日は乾かしましょう。


パテが乾いている間に
燃料タンク、脚、プロペラの
組み立て、塗装をしました。

脚はまず脚カバーを薄くして本物らしくします。
タイヤは自重変形の形が最初から再現されていました
ので今回はそのままです。
タイヤの色はつや消し黒ではなく、本物らしく、
若干灰色を混ぜた黒で塗ります。
オレオ(タイヤ支柱)はスミイレを濃いめ に
しておくと、質感が高まります。
ブレーキパイプをエナメル線で追加しました。


昨日の機体の
パテをヤスリで削ります。
耐水ペーパーヤスリで、
400番で大方削り、600,1000,1500番で、
傷が残らないように磨きます。
(写真を撮り忘れました。
過去のプラモ風景を載せておきます)


今回は下地にサーフェイサーを吹くかわりに
スプレーでシルバーメタルを吹きました。
下地が銀ですと、後々、塗装が楽になるからです。
銀が乾いたら、若干ザラついていましたので
2000番のヤスリで磨きました。
下地は平滑にしておくのが基本です。


機体下面の塗装に入ります。
今回の紫電改は機体下面色の指定が銀になっています。
スプレーの銀そのままでもいいのですが、。
もっと質感にこだわります。

ここからは私オリジナルの技法なので、
試される方は自己責任でお願いします。
まず薄めたアクリルの黒を
ウォッシングの要領で全体に塗り、
パネルラインにスミイレを残すように拭き取ります。
拭き取る時は空気の流れを意識して縦方向に拭き取ります。
アクリル塗料なのでキレイに拭き取れず、
黒がある程度残り、全体のトーンが落ちたと思います。
これが狙いなのです。


次にパネルラインを残すように銀を塗装します。
私はアルクラッドのアルミニウムを、
エアブラシで吹いています。
今の所、一番素晴らしい銀塗料です。
先ほど、アクリル黒ウォッシングで
全体のトーンが落ちていますので、
グラデーション塗装になります。
つまり、パネルライン周辺だけが暗く、
パネルライン内側は明るい銀になるハズです。


パネルラインごとに明度の違う銀を塗ると、
より実機っぽくなります。
資料をよく見ると、実際 銀の明るさは
パネルごとに違うようです。


塗装に入ると 作業は早く進みます。
次は機体上面色を塗ります。
指定通りに、暗緑色に若干青を混ぜた色 で塗ります。
グラデをかけるので暗めの色にしようと思い
暗緑色にミッドナイトブルーを混ぜました。
ちなみに説明書の指定では
インディブルーになっています。


こんな色になりました。
「暗すぎやしないか?」
と思う方もいるかもしれませんが、
「いいんです」よ。
グラデーション塗装の下地ですから


塗装はどんどん進みます。
機体上面色のグラデをかけます。
さっき塗った色に白を若干混ぜた色で
パネルラインだけ残すように塗っていきます。
エアブラシの細吹きで丁寧に塗ります。
ここだけはノウハウ意外にも
慣れや熟練の必要な作業といえます。

こうして、色味を落とし、明るくします。
この退色表現は賛否両論なので、
色味を落としたくない人は緑など
を混ぜて、明るい色を表現してもOKです。


グラデーションで、パネルラインの汚れ
色の日焼けによる退色
遠景による空気感の表現、
パネルの誇張表現
のどれを表現するかは人の好みです。
ちなみに私は今回、
機体下面色では、パネルラインの汚れを、
機体上面色では、退色表現をしたつもりです。

暗い色でのグラデは目立ちにくいので、
キツめにかけます。
こんなに明度の違う色を塗っても、
後からは あまり目立たなくなるので
お楽しみに。


塗料が乾いたのを確認したら、
識別帯、と胴体の黄色のラインを表現します。
ここはデカールでも良いのですが、
面積が大きいためフィットさせるのが大変
なのと自然なウォッシングをするために
塗装で表現します。
そのために、黄色(黄橙色)く塗るところ
意外をマスキングします。
ホントは日の丸も塗装でした方が簡単なんですが、
○を切り出すのが苦手なのと、
今回の日の丸は数字が入っていて複雑
なのを理由に、デカールです。(言い訳)


写真を撮り忘れたため、
作業が一気に進んでいます。
黄橙色を塗った後、マスキングテープ
を剥がして、ハゲチョロをしました。
下地に銀を吹いておいたので、
実際のハゲチョロのように緑をぺりぺりと
剥いでいきました。
この作業は結構楽しいのでやりすぎに注意
しましょう。あと、資料をよく見て、
「どういうところが剥げているか?」
「どういう剥げ方をしているか?」を考えて
作業すると、本物っぽくなります。
ここで脚を取り付けます。


次にデカールを貼りますが、
デカールがフィットしやすいように
表面を平滑にしておきます。
私の場合は水に漬けた2000番ヤスリで
撫でるように磨いていますが
最近模型誌で、スポンジを使う方法を
発見しました。「なるほど」と思いました。
ヤスリだと微妙な力加減が必要で、
塗料が剥げる危険性もありますから
スポンジがいいかもしれません。
まだ試してませんが・・・。


デカールを貼ります。
意外とマークソフター、セッターの
存在を知らない人が多いですが、
この二つの溶液は
デカール貼りには絶対オススメの道具です。
デカールを貼るところにマークセッター
を塗っておいて、デカールを貼ります。
もし、フィットしなかったら、
マークソフターを上から塗ってデカール
を柔らかくしてフィットさせます。


デカールが乾いている間に
真鍮パイプで機関銃を作ります。
先端がラッパ状態に広がっているので、
真鍮パイプの端ををライターで熱し、
コンパスの針などで押し広げます。


機関銃、燃料タンクを付けます。
完成が見えてきました。o(^-^)o
でもまだ気は抜けません。
エナメル黒でウォッシングします。
薄めた、エナメルの黒を全体に塗り、
少し置いて、拭き取ります。

後は細かいところを塗っていきます。
アンテナ棒、機関銃、排気汚れなどです。
排気汚れにはタミヤの
ウェザリングマスターの黒を使っています。


さっきかけたグラデが殆ど
解らなくなりました。
写真のようにキツく光を当てると
解りますが・・。


仕上げに機体全体に、
アクリル塗料を薄ーく吹きます。
デカールや色調に統一感を出すためです。
私は、色が明るいと思ったときは、
焦げ茶色、
暗いと思ったときはバフ色を
吹いています。
今回は暗いと思ったのでバフを吹きました。


キャノピーのマスキングシール
を剥がし、
アンテナ線を追加したら、
ついに完成です。
いや今回はサクサク作業できました。
湿度の低い日が続きましたし・・。
アンテナ線は0,2mmのピアノ線を
使っています。細い釣り糸、伸ばしランナー
いろいろ試してみても良いです。


紫電改・・。
力強いですねぇ。
青っぽい暗緑色や下部の銀って
違和感があるどころか、
(最初とても不安でした)
かなり自然な感じです。
むしろカッコイイですよ。


ベースに乗せたところです。
後ろに見えるのは後輩の作った
紫電です。これもイイ形してます。
紫電11型と21型(紫電改)ではかなり改修し、
全く別の印象になっちゃってますね。
紫電は整った形してますね。


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